生きた人物の作り方:欲望・欠落・口調で立体感を加える
Web小説の書き方 · 読了目安 約3分 · 更新 2026-10-08
設定の一覧と人物は違う
身長、髪の色、職業、趣味、好きな食べ物までびっしり書かれた設定表があっても、人物が生きているとは限りません。設定は情報であり、人物は選択する存在だからです。読者が人物に反応する瞬間は、その人物が難しい選択をするときです。
だから人物を作るときは、外見よりも先に「この人物は何を望み、何がそれを阻んでいるのか」を決めなければなりません。
欲望と欠落を決める
欲望は、人物が物語の中で成し遂げたい目標です。欠落は、人物に足りないもの、人物が避けたい内面の弱点です。この2つがぶつかるとき、対立になります。
人物の核シート(1人物につき5行で十分)
- 表向きに望むもの:ギルドの試験で1位になりたい
- 本当に望むもの:誰にも見捨てられないという確信を得たい
- いちばん恐れるもの:実力がないという事実が明らかになること
- だからとる行動:弱点を隠すために助けを求めず、一人で無理をする
- 物語の中で変わるべき点:助けを受け入れられるようになる
人物を行動で見せる方法
- 「彼は正直だった」と書く代わりに、おつりを多くもらったときに戻って返す場面を書く
- 小さな癖を1つ決める。緊張すると袖をいじる、嘘をつくとき視線をそらす、など
- 困難な選択を前にして主人公が何をあきらめるかで、優先順位を表す
- 周りの人物が主人公をどう扱うかで、評判や関係を見せる
口調を区別する
人物が複数登場すると、全員が似た口調で話しがちです。セリフの前の名前を隠したときに、誰が話したか分かるかどうかが、よい基準です。
- 文の長さ:短く区切って話す人物と、長く説明する人物
- 語尾・話し方:丁寧な人物、くだけた言葉を混ぜる人物、語尾を濁す人物
- よく使う言葉や口癖を1つずつ決める(繰り返しすぎると負担になるので、たまに)
- 感情が高ぶったときの変化を決める(早口になるのか、静かになるのか)
脇役も1つは欲望を持つ
主人公を助けるだけの脇役は、道具のように感じられがちです。脇役にも、物語の中で望むものが1つずつあれば、場面ごとに人物同士がぶつかり、セリフが生き生きします。たとえば主人公の友人が、主人公を応援しながら、同時に自分も同じ地位を狙っているなら、2人の会話に緊張感が生まれます。
人物が変わる過程を設計する
物語が終わったとき、主人公が最初と同じ人なら、読者はむなしさを感じます。変化は突然訪れるのではなく、大小の事件を経て少しずつ積み重なります。序盤、中盤、終盤にそれぞれ、「この人物が以前ならしなかった選択」を1つずつ配置してみてください。
やってみよう:人物の核シートを1枚埋める
シートを埋めていて詰まる欄があれば、その人物についてまだ決めていない部分です。無理に埋めるより、その人物が難しい選択をする場面を1つ書いてみると、答えが見えてくることもあります。
- 主人公の「表向きに望むもの」と「本当に望むもの」を、それぞれ1行で書く。
- いちばん恐れるものと、そのためにとる行動を書く。
- この物語の中で変わるべき点を1行で書く。
- 同じシートを脇役1人にも埋めて、主人公とぶつかる点を探す。
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